青天の霹靂からの…

愛妻家で通ってる夫の不倫発覚。これからどうなる?

人生は秘密があるもの

私の母方の祖母は小さくて、心配性で目立った事は何もしないほんとに静かな人だった。怒ってるところも興奮してるところなんて見た事なくてとにかく大人しくて静かなおばあちゃんだった。唯一嫌なんだろうなと思ったのは小姑の事くらい。

 

子供の頃は一緒に遊んだりお買い物に連れて行ってくれたけど、物静かな祖母は子供ながらに物足りなさすら感じていた。

 

祖母と祖父は子供から見ても穏やかな老夫婦で仲も良さそうだった。祖父も物静かな人でクラシック音楽や映画の愛好家だった。そして習字や美術が好きで良く一緒に絵を描いてた。もともとおぼっちゃまだったからか上品な趣味が多く穏やかな人だった。

 

私が高校生の頃に祖父が他界して、その10年後くらいに祖母も他界した。

脳溢血で倒れた祖母は最後の5年くらいはほぼ意識はなくずっと家で寝たきりだった。ヘルパーさんやケアマネに恵まれて24時間看護を家でしてもらい、お庭の世話もしてくれるような方達だったからいつも季節のお花も咲いている中で横になっていた。そして最期は家で安らかに息を引き取った。私の母親もずっと看病をしていて、孤独死などがよくある昨今理想の最期だったと思う。お葬式は家族だけで祖母らしく静かに執り行われた。

 

そんな生き様も死に様も静かに終わらせた祖母に私は人生楽しかったのかなって思ってた。

 

祖母は檀家の沢山いるお寺の1人息子と3人娘の一人。たしか真ん中だったと思う。中々のお嬢様だったみたい。

 

祖母の妹は真逆の人で派手、遊びまくり、食べまくり、おばあちゃんなのにオールでカラオケしちゃう様な人。たまに会うとどこで売ってるのって言うようなつばの広い帽子とド派手なカバンを持ってマシンガントークをしている様な人。地味なの着てると若いのに何なのっ言う。あそこのおじいさんさんが〜とかピンクな話を良くしてて面白いひとだった。これでも由緒あるお寺のお大黒だったんだけどね。祖母とこの人が姉妹とはとても思えないほど違う性格。

 

そんな派手おばあさまが祖母か亡くなって数年したある日突然私の母に告白をした。そして多分予想だにしなかった話に母は耐えられずある日私にこの話をしたのだろう。

 

大正生まれの祖母は大きいお寺の娘で学校を卒業して教師をしていたらしい。まだまだ若い頃の祖母多分小さくて、痩せているけど目のぱっちりした可愛いらしい人だったと思う。私が知る祖母からは想像が全くできない姿。先生だったって事働いていたって事だけでも驚いてしまう。そんな話は一度も聞いたことがなかった。あんなに心配症の人が人の前に立って教えていたなんて。

 

祖母はこの学校で他の教師と恋をしていた。

当時の事を鑑みれば社内恋愛は今よりももっと密かにしていたのだろう。でもその恋は何らかの理由により祖母の父にバレ、速攻で学校を退職させられて、そのまま祖父と結婚させられた。祖母の父が怒った理由はとても簡単。祖母は妻子ある人とお付き合い合いをしていた。不倫をしていたのだ。

 

どうしたらあの物静かな祖母が不倫をする事になったんだろう。不倫をしている時の祖母の姿はどんな感じだったのかな。本気だったのかな。実は遊びにしか過ぎなかったのか。詳しい事は聞かされていない。それでも静かで取り分け楽しい事もなさそうだった私の想像していた祖母の人生はガラッと変わった。

 

不倫をしている時彼女の日々は充実していたのかな。すごく女だったんだろうな。父親に愛人であることが知られた日きっと彼女は狼狽しただろう。もし相手を本気で思っていたなら引き離された時彼女はきっと泣きはらしただろう。祖父と無理やり結婚させて事を恨んだだろう。彼女自身のした事を棚に上げて。

 

相手の男性は結果妻と離縁することはしなかった。彼女はどう思ったのだろう。彼女は捨てられたのだ。どのくらい深い関係でどんな付き合いをしていたのだろう。どの位の期間不倫をしていたのだろう。

 

その後祖母はどんな思いで祖父と結婚し、妊娠して、子育てをして毎日を過ごしていたのだろうか。とっとと相手の事は忘れて祖父と充実した生活をすごしていたのかな。死ぬまで密かに相手の事を思いながら過ごしていたのか。結婚した後密かに不倫相手に会った日もあったのだろうか。

 

祖父はきっとこんな理由で結婚させられた事は知らなかったのではないか。当時のお見合い結婚であれば言う必要もないだろうし。多分祖母方の家族の中に留められていた秘密だったんだろう。

 

祖母も亡くなって祖母の妹ももうじき亡くなるって頃に母に告げられた祖母の最大の秘密。いくら亡くなってしまったとは言え、私の母は自分の母親の不倫をどう受け止めたのだろう?かなりの衝撃だったはず。ある日突然サラッと話してたけど、たぶん心は複雑だったはず。

 

そして母には告げていないけど、自分の娘は不倫をされて苦しんでいる。不倫した人とされた人に挟まれた母は私の状況を知ったら辛いと思う。

 

祖母の不倫の話を聞いた時はその事実に驚いただけだったけど、いまは他人事ではないから祖母の思いやあの物静かさや心配性なとこ全てが不倫で祖母のの人生が変わってしまい、そして相手を想い続けた結果だったのだろうか。

 

いま祖母の本心や不倫の事実を知る人はいないけどなんの因果か孫の私は夫に不倫されてひたすら辛い日々を過ごしている。

 

人の人生は何が隠れているのか分からない。そしてどこでリンクするのか分からない。私と祖母は孫と祖母以外で、特に深い関わりはなかった。こんな事で繋がり祖母を思い出すのは残念だけどこれが人生なのかな。

 

不倫はしていたけど、その後どんな形であれ祖父と結婚した彼女が立ち直り、事を反省し、彼女の子供たちと夫を愛していたと心から願っている。そうでなければ私の母も私も私の祖父も報われない。

 

祖母は亡くなる時不倫を思い出したのかな?